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筆界について不動産登記法と最高裁判例との違い
〇不動産登記規則第七十七条(地積測量図の内容)

 地積測量図には、次に掲げる事項を記録しなければならない。

 六 筆界点間の距離

  八 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値

  九 境界標(筆界点にある永続性のある石杭又は金属標その他これに類する標識をいう。以下同じ。)
     があるときは、当該境界標の表示

〇判例

*最高裁判所 第三小法廷・判決 昭和41(オ)118

 隣接土地所有者間に境界についての合意が成立したことのみによつて右合意のとおりの境界を確定することは
 許されない。

*東京地方裁判所 昭和53(行ウ)163 

 地番と地番との境界は、隣接する土地所有者間の合意で確定又は変更し得るという性格のものではないから、
 両者の合意を要件とする同条の境界確定は、地番と地番
との境界を定めるものではなく、国有地とその隣接地
 との所有権の範囲を確定する
ものであることが明らかである。

 その性質は財産所有者としての国と隣接地所有者との契約と解すべきである。

*最高裁判所 第一小法廷 昭和42(オ)718

 境界確定の訴は、隣接する土地の境界が事実上不明なため争いがある場合に、裁判によつて新たにその境界を
 確定することを求める訴であつて、土地所有権の範囲の確認を目的とするものではない。

土地家屋調査士が行っている土地境界確認は、判例によると所有権界の民法による契約行為です。

不動産登記法と判例に矛盾がある。

〇東京法務局への私の質問

「判例では、私たちが行っているのは所有権界を確認しているとなっていますが、不動産登記法では地積測量図に
筆界点とその座標値を記載しなさいとなっています。判例通り所有権界としてよろしいですか。」

回答

「先生方が筆界を確認しているという事で申請を受理しています。」

私の質問

「不動産登記法と判例とに矛盾があります。どのようにお考えですか。」

回答

「先生方が筆界を確認しているという事で申請を受理しています。」

と、同じ回答でした。

境界確認の責任は土地家屋調査士にあり、まるで法務局には責任がありませんという言い方でした。

境界確定は裁判所のみができます。一般に言う境界確定は所有権界確定です。
「土地境界確認」は筆界でもあり所有権界でもあります。
土地家屋調査士、測量士、土地所有者は筆界を確定することはできません。

*「境界確定」は、裁判のみでできる。

 筆界は初めから存在するので土地家屋調査士の業務は「境界確認」です。

 土地家屋調査士の「境界確定」は所有権界を確定する業務で筆界ではない。

 「境界確認」は筆界でもあり所有権界でもある。

法務局は土地家屋調査士が所有権界を確認しているという事を知っています。知りながら筆界として受理しています。
道路との境界確認も所有権界と知っていて筆界として受理しています。
行っているのは所有権界ですが、その頭の裏には筆界でもあります。
筆界でもあるという事を頭の裏に持っていて下さい。

「そこで、私の提案です。あるべき姿は「確認すべき所有権界は所有権界兼筆界」でなければならない。」

理由1、官民境界協議は、沿革的に「所有権界筆界」を決める手続きだった。

理由2、登記官は境界協議の結果を「筆界についての認識の一致もある」とみる

理由3、市民も筆界と食い違いがあるとは予期しない。

     筆界を無視した協議・境界明示は、時として市民を悲劇に巻き込む。