六月十二日 晴れ (29日目)

 ノースマンの街だ。ナラボーをやっと超えたぞ。アデレードを出発したのが六月八日、五日がかりでやっと郵便局のある町に着いたぞ。いや、お金がなくて乏しかった。ここに着いた時には二ドル弱しかなかったのだから。
 そして、五日ぶりの暖かいシャワーとベッド、今晩はゴールド・ラッシュで昔賑わったクールガーディーのY・Hに泊まる。
 ただ単にまっすぐな一本道が続く大平原の旅も終わった。なぜか、感激よりもほっとした感じである。今晩はゆっくり休もう。サスケよご苦労さまでした。

シドニーからの走行距離  4932キロ

   私は旅費をコモンウェルズ・バンクに預金しておいた。この銀行の通帳は郵便局で使える。
   ナラボー平原の途中には郵便局やスーパー・マーケットなどはないので、お金と食料は
   充分に持っていた方がよい。
   朝食は食パンで、夕食はご飯にした。ナラボーのドライブ・イン脇の水道は塩水なので
   ある。それとは知らずに、ご飯を焚いたら、いやーしょっぱいのしょっぱいのって、
   食べられたものじゃなかった。
   だからあの時、ドライブインで水をくださいと言った時に、飲むためのものですかと
   聞いてきたんだ。
六月十三日 晴れ (30日目)

 うーん、今日もよい天気だ。メルボルンから比べれば本当に暖かい。すがすがしい。
「あーあ、プッ!」
おっと、あくびと一緒に屁も出てしまった。これは失敬。
 今日はゴールド・ラッシュで賑わったカルガーディで歴史の勉強。オーストラリアって本当に歴史の浅い国ですね。昔といっても約百年前のこと、日本のような文化国に比べればたいしたことはない。今はしなびた街である。

シドニーからの走行距離  5276キロ

   昔の採掘場は、今は展示場となっている。
   昔使われた機械や道具、それから、採掘跡も見学ができる。
   駅も使われておらず、今では、かつてゴールド・ラッシュで賑わった駅や採掘の様子を
   写した写真が展示されている。機関車もあったぞ。
   駅前で、日向ぼっこをしていたアボリジニの老婆を見ていると、
   「この街はこれでいいのだよ」
   と、言っているようだった。
カルガーディ駅
今は動かぬSL
駅の建物は展示場