六月八日  曇り時々晴れ (25日目)

 すごい風だ。アクセルを開けても、思うようにサスケ君は、進んでくれねーや。向かい風だからなおさらだ。
「アーユーオーライ?」
「ザッツ、オーライ」
自転車野郎は大変だ。この向かい風の中、自転車を押さなければならないのだからな。
「グット・ラック!」

シドニーからの走行距離  3141キロ

   この日は、ポート・オーガスタより七十キロ先のアイロン・ノブという街でキャンプをした。
   キャラバン・パークというところがあり、テントが張れるような芝が植えてある。水道、
   トイレ、シャワーを使用する時は、二ドルのほかにプラス五十セントだ。
   使用者は、私一人、人がいるべきところにいないというものは、とても寂しいものである。
六月九日  晴れ時々曇り時々雨 (26日目)

 昨日は森林が果てしなく続けば、今日は平原が果てしなく続く。明日はいよいよウェスト・オーストラリアへ突入する。今度は砂獏が果てしなく続くのだろうか。
 地平線を見たいばかりに、この旅を計画した一つの理由もあるが、もう地平線はうんざりだ。しかし、時には感動を呼ぶ、旅っていいなって。西日で自分の影が長く伸び、目的地パースまでひた走る。途中Vサインでライダー、ドライバーと無言の挨拶を交わす。
 どんなに苦しくとも、くじけそうになろうとも、サスケと共にこの旅の終わりまで続けるだろう。俺は、やるぞ!

シドニーからの走行距離  3697キロ

   オートバイに乗っていた人は、日本式のVサインを送ってきた。きっと日本人だろう。
   キャラバン・カーで旅している人は、ほとんどが夫婦である。愛想のいいドライバーは
   トラック野郎だ。彼らは、必ずといってよい程、親指を立ててサインを送ってくる。
   グット・ラックという意味だ。そんな時、大平原に生きている人たちの暖かさを感じた。

今日も頑張るぞー!
どこまで続くの?
日没前にテンと張り