六月四日 雨 ( 21日目 )

 冷めてえ!雨だ!、ちきしょー!、エンジン又もかからず。三十分挑戦して諦める。
もー、体力も気力も全くなし。
 八時半、Kマートでパンと牛乳を買って食べる。今からでもオートバイをここに置いてメルボルンへ帰るかな。どうしようかな。メルボルンへ帰って仕事をして、また出直すか。いや、ここでくじけてはいけない。俺は男だ!ここで甘えてはいけない。今という時間は二度と来ないのだ。
 タバコを一本吸った後、Kマートの隣の自動車修理工場で、近くのバイクショップへ電話をかけてもらった。数分してオートバイを取りに来た。
 さすがプロ、エンジン内部のオイルを一度全部抜き取り、新しいオイルと交換したら、一発でエンジンスタート。
 な、な、なーんと、ここの店長は日本へ行ったことがあり、つまり、無料で直してもらったわけなーんだな。
 さあ、コーヒーを二杯も飲んで暖まったことだし、雨の中、アデレードへいざ出発!
 いや、ひでー雨だな、歌でも一曲歌うか。「雨、雨、降れ、降れ、もっと降れ…・」
寒くはないが手が冷めてー。しかし景色は最高だ。晴れていればもっといいだろうな。
 ポートキャンベルに午後五時に着き、雨が降っているため宿を探す。
「スイマセン、コノチカクニ、モーテルアリマスカ?」
「ナッシング」
返事はこればかり、あ〜ぁ雨の中どうすっかな。よっ!あるではないか。今晩はここで寝よう。それも、屋根、トイレ、水道付が、バーのすぐ前にバーベキューパークがあるではないか。今晩はここで寝よう。

シドニーからの走行距離  1817キロ

   Kマートとは、地方のスーパー・マーケットである。食料品、衣類品、雑貨品等、
   を売っている。日常品はほとんど揃っているのである。 
   オートバイショップの店長、二年後に日本へ来たのである。
   ホンダの招待旅行で、ご夫婦で来られた。
   鎌倉を案内したのだが、店長相変わらずのオージー振りを発揮した。
   朝から一日中ビールを飲んでいた。
   本当にオーストラリア人は、陽気でフレンドリーである。
   バーベキュパークと書いてあるが、
   公園にバーベキューの出来る設備のあるところである。
   そのテーブルの上で寝た。
シドニー港のクイーンエリザベス号
キャプテンクックの家
地平線に消える道