六月三十日 曇り時々雨
( 44日目 )
雨は上がっているな。さて、いよいよダーウィンへ向かって出発するか。サスケの調子もよさそうだ。
サスケ!レッツ・ゴー、ダーウィンへ。みんな、いろいろとありがとう。また、シドニーで会おう。
あー、いいなー、旅って。再会を誓い合ってまた分かれる。この気分、なんて説明したらよいのか。とにかくいい気分だ。
「ひとは、だれも、ただーひーとり、たびにーでーて、・・・・・・・・・・」 ううん、声の調子もいいね。
今日のコースは、ナンブング・ナショナルパークへ。
いや、ひどい道だな。砂と岩だらけで走りづらいよ。前後のタイヤを新しく交換しておいてよかった。本当にサスケことXL350ccは馬力があるな。もし、荷物を積んでなかったら、こんな道、スイ、スイなんだけどな。
まだ着かないのかな。もう十キロも走っているぞ。ダートは疲れる。肩がこってきたなー。 おっ!見えた、見えたぞ!無数の尖石が砂漠の中に立っている。俺より背が高いものもあるぞ。すごいな。約二十キロを五十分もかけて来る価値はあるな。すばらしい、実にすばらしい。
むむ、男のシンボルのようなものまであるぞ。記念に写真を撮ろう。えーと、上のほうを撫でているところがいいな。オーストラリアの大自然のいたずらだね。
雨雲の下で、砂漠の上で、薄暗い中を無言で立っている石の人形が、俺とサスケを囲んでいるようだ。ちょっと不気味で身震いがする。
シドニーからの走行距離 8131キロ
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今までの荷物の積み方を変えた。重心を下にしたのである。
ボロボロのテントでサイド・バックを二つ作り、 ザックの中の重い荷物を後輪両サイドに振り分けた。
それから、ヘッド・ライトの上にテントを縛り付け、水と工具を運転に支障がないように、
左右のハンドルに下げた。これで、後輪への負担と全体のバランスを取った。
今日のようなダートでバランスを崩した時に、容易に立て直しができた。
日本での旅行も写真集を見てコースを決めていた。
この尖石のことをピナクルズという。木の根の化石である。発見されたのは三、四十年前とか。
最初に木が枯れて、根の部分が化石となり、風により砂が飛ばされ、
化石となった根が 次第に現れてきたそうだ。
よくみると、確かに年輪らしきものがわかる。
高さが二メートル以上のものや、いくつか連なっているものもある。
羅漢像の中に観音像も立っているという感じだ。
広大な自然、何世紀も過ぎた、いや、続いている自然の変化の中に、こうして一人佇んでいる。
時間は、地球の歴史ではほんの一瞬である。
しかし、人間にとって、いや、私自身にとっては、貴重な一時だ。 |
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七月一日 雨
( 45日目 )
真夜中、風が強くなってきたな。このテント大丈夫かな。
うわー、雨が降ってきた。これじゃ安心して眠れやしねーや。本当にこのテント、飛ばされないかな。 心配だ。竹田のやつ、雨漏りはしませんといいながら、これ、この通り雨漏りがするではないか。
まあ、あまりひどくはないが。それよりも、テントが飛ばされるのではないか心配だ。神様どうか テントだけは飛ばされませんようにお願いします。
朝になって、うーん、風は弱くなったようだな。 しかし、まだ雨は降っているよ。 でも、こうしていても仕方がない。出発しよう。
雨の中を走るのはしんどい。今日一日中雨だったよ。 雨の中でのテントたたみに始まり、 テント張りに終わったようなもんだ。
雨はやだ、やだよー!
シドニーからの走行距離 8517キロ
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雨期を避けて乾期を選んだのだが、 意外とオーストラリアの南方は雨の日が多かった。
雨の中のツーリングは身も心も寒々となって、 ちょっと弱気になってしまうことがある 。 |
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りっぱだなー
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これみんな、木の化石だよ
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年輪、わかるかな
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