六月二十五日〜二十六日
( 42〜43日目 )
二十五日の午後から竹田氏とウェーブ・ロックへ行く。片道約三百五十キロ、一泊二日のツーリングである。
足のほうは乗っていてもそれほど支障はなかった。これなら二十八日にダーウィンへ出発できるな。
しかし、風邪がよくならず、鼻水ダラダラ。走りながら歌っている最中でも
「せーんろはズズー、つづくーよズズズー、どーこまズズズー、でもズズー」てな調子で参った参った。
今晩は、竹田氏から買い受けたテントの試張り、フライ・シートがなければ雨漏りがしてしまうのが欠点である。テント代三十ドル、これも今の俺にとっては痛い出費である。でも、今、俺が持っているガムテープの継ぎ接ぎだらけのテントよりは大分よい。
ところで、ウェーブ・ロックであるが、どんなにすごいのかと胸をときめかしていったのだが、着いたら、何だこれは、ほんの五、六十メートルほどの長さで、ちょっと迫力に欠けた。こんなところが、観光名所になってしまうのだから、オーストラリアも観光化するにはまだまだ程遠い気がする。というよりも無理が見られる。だから、オーストラリア・ドルが下がるのである。
シドニーからの走行距離 7922キロ
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オーストラリアに対して言いたい事を好き勝手に書いてしまったようだ。
ウェーブ・ロックには一度行ってみる価値はある。
オーストラリアが大昔、海面下にあったのがうかがえられる。
オーストラリア、今思うと、これ以上、観光化してほしくない。
このままの自然を、また自然の歴史を残しておきたいものである。
自然の歴史から見ると、日本より歴史ある国である。 |
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ウェーブロック
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長く見えるが実は短い・波によって削られたようです
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六月二十七日 晴れ
( 44日目 )
二十四日に買ったタイヤを返しに行ったが、そこの親父買い戻してくれなかった。
「ソノタイヤハ、オマエノモノダカラ、オマエノモノトナッタソノタイヤヲ、モウ、カウツモリハナイ」
と、きたもんだ。
「何言ってんだ、この馬鹿やろうー!」
と、怒鳴りはしなかったが、
「くそー!」と、内心思った
そこで、賢い日本人ヒーローは考えました。そうだ!この新品同様のタイヤを、後輪のタイヤを買ったバイク・ショップへ持って行って買ってもらおう。新品で四十五ドル位だから、二十ドルで売って、五ドル得する計算になる。ウッシッシッシー。
しかし、ここのバイク屋も買ってくれはしなかったが、新品のオン・ロードも走れるタイヤと交換してくれた。結局、前後のタイヤを八十五ドルで交換したことになる。まあ、これでも安い買い物である。
今、手持ちに二十ドル、銀行に七百ドル、ちょっとシドニーまで金が続きそうにもない。苦しい。 く〜る〜し〜い〜。もう一度通帳をよーく見たが、やはり七百ドルしかない。通帳を振っても金が落ちてくる気配すらない。
仕方がない。日本から持ってきた一眼レフのカメラを売ろう。六万円で買ったカメラを二百ドルで。カメラを売るということは自分の趣味を一回り小さくしたもので、楽しみはそのまた一回り小さくしたことと同じ。しかし、七百ドルで残り三分の二を旅することは難しい。仕事はしたいが短期間の仕事はない。難しい、どうしようか、誰かよい案を俺にくれー!
ところが、買い手の竹田氏曰く、
「百八十ドルなら買いますよ」
また、ここで悩む。百八十ドルか。本当にこのカメラを百八十ドルで売ることは一大決心が必要だ。 オートバイでオーストラリアを旅するのだと決心した時のように悩む。百八十ドルあれば旅も大分楽になる。しかし、今、このカメラを百八十ドルで売るほど金が必要であろうか。悩みに悩む。
「売った!百八十ドルで売った!」
「買った!」
なぜか突然、このような会話が飛びかわった。
しょうがない、事実、今、俺は金に困っているのだから。でも、二十ドル紙幣九枚をじっと見ていると、ちょっと寂しいな。一番大切なものを失ったようだ。短期の仕事も見つからないのだから、もう売ってしまったこと、後悔すまい。
よし、明日はダーウィンへ出発するぞ!
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私もセコイ事をしていたものだな。
でも、前後のタイヤを八十五ドルで交換したのはすごい。我ながら感心した。
どうしても1周したいという気持ちが、いろんなことを思いつかせた結果だと思う。
何だかんだといいながら、私はカメラを売ることを二、三日前から決めていた。
この他に、バカチョン・カメラを持っていたからだ。
百八十ドルはぎりぎりの線だった
合計九百ドル、これから、一日平均二ドルの食事生活が始まる。
朝食と昼食は食パン、夕食はインドネシア産の米を炊いて食べた。
おかずは、母から送ってもらった梅干と缶詰である。
オートバイだったので、さほどおなかはすかなかった。
ただし、自転車野郎は、相当食べるらしい。だから、荷物の殆どか食べ物と聞いている。
さあ、可能性に挑戦である。 |
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ウェーブロックへ行く途中
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ウェーブロックへ行く途中
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パースにて(右端が竹田氏)
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